ノウハウの提供方法

第1 はじめに

コラム「「フランチャイズ契約」とは」で説明したとおり、加盟店にとってフランチャイズ契約というのは、本部の有する経営システムやノウハウ(以下、単に「ノウハウ」という。)を利用できる点に大きなメリットがあります。そして、本部から加盟店に対して、ノウハウが提供されない限り、加盟店はノウハウを利用することはできません。建物の賃貸借契約で、貸主から鍵を受け取らなければ、借主は建物を使用できないと同じようなものだとイメージしていただけるといいでしょう。

さて、本部独自のノウハウというのは、書面でマニュアル化されているのが一般的です。もっとも、多くのケースでは、このマニュアルを加盟店に交付するだけでは、加盟店は十分にノウハウを利用することはできません。なぜならば、加盟店となる者の多くは、本部の行うビジネスの経験がなく、マニュアルを読んだだけではノウハウの概要を理解することは難しいからです。そして、加盟店がノウハウを十分に利用することができないとなれば、加盟店が提供するサービスの質が低くなり、収益を上げることもできません。そうなると、本部は、ロイヤルティとして十分な収益を得ることができないだけでなく、本部のイメージダウンにも繋がりかねません。

こうしてみると、本部によるノウハウの提供というのは、フランチャイズ契約において大変重要な要素の1つだと言えます。このコラムでは、フランチャイズ契約において一般的に採用されているノウハウの提供方法について説明します。

第2 ノウハウの提供方法

1 初期研修について

まず、加盟店の開業前に研修を行うのが一般的です(以下、「初期研修」という。)。加盟店は、この初期研修でノウハウの実施に必要な知識・技術を修得します。他方で本部は、ノウハウの実施に必要な知識・技術を修得した加盟店のみ開業を認めるシステムにすることで、フランチャイズ・システム全体の商品・サービスの質を維持することができます。
初期研修では、講義形式の研修と実務研修の双方を行うのが一般的です。

講義形式の研修では、本部のもつ専用の施設などで、営業を行う上で必要となる知識・技術の概要を学びます。例えば、発注から商品・サービスの提供までどのような方法で行われるのか、どのようにして商品・サービスの品質や安全性を管理するのか、従業員をどのように管理するのか、広告・販売促進について本部および加盟店はそれぞれ何を行うのか、などです。また、営業を行う上で不可欠な資格がある場合には、当該資格取得のための指導・援助が行われることもあります。

実務研修は、本部の直営店などで、実際の業務に従事しながら営業活動に必要な知識・技術を修得します。例えば、どのような接客をするといいのか、帳簿の記載など売上をどのように管理・記録したらいいのか、などが挙げられます。

以上の初期研修の期間は、研修の内容によって異なりますが、1ヶ月から3ヶ月程度であることが多いようです。

2 開業後の研修について

コラム「フランチャイズ契約を締結するときの注意点」でお話しした通り、加盟店が開業後も初期研修で修得した知識・技術を維持するためには、本部による継続的な指導・援助(以下、「開業後の研修」という。)が必要となります。また、開業後の研修には、新たに開発した商品・サービスの提供など、初期研修で提供したノウハウを発展させる一面もあります。

開業後の研修としては、「スーパーバイザー」などと呼ばれる本部の担当者を、定期的に加盟店の店舗に派遣して、一定期間その店舗で指導などを行うのが多いようです。この他にも、各加盟店の代表者を本部の施設に集めて研修を行うこともあります。

以上

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