時間給の算定方法

月給制・年俸制の場合,時間給はどのようにして算定されるのか?

(月給制の場合)
基本給(及び月決めの手当)が月額で定められている場合についての時間給の算定は,
【毎月の基本給(及び月決めの手当) ÷ 1ヶ月の所定労働時間数】
です。(労基法施行規則19条)
1ヶ月の所定労働日数は異なりますから,1年間(原則として暦年ですが,就業規則に定めがあれば4月から翌3月を1年間とすることもできます。)を平均して1ヶ月の所定労働時間数を算出することが必要です。
したがって,年間総日数365日の年の場合,1ヶ月の所定労働時間数は,
【(365ー年間総休日日数) ÷ 12 × 1日の所定労働時間数】
となります。
例えば,年間休日102日,1日の所定労働時間数8時間のケースであれば,
【(365-102 ÷ 12 × 8】=175.33時間
 が1ヶ月の平均所定労働時間数となります。

(年俸制の場合)
年俸制の場合,時間給の算定は,
【年間の給与(及び月決めの手当) ÷ 1年間の所定労働時間数】
です。
1年間の所定労働時間数は,年間総日数365日の場合,
【(365-年間総休日日数) × 1日の所定労働時間数】
で求められます。

基本給以外の諸手当は時間給の算定の基礎に含まれるのか?

割増賃金の基礎となるのは,通常の労働時間又は労働日の賃金額ですが,労働基準法37条及び労働基準法施行規則21条では,①家族手当,②通勤手当,③別途手当,④子女教育手当,⑤在宅手当,⑥臨時に支払われた賃金,⑦1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は除外するとしています。逆に,これ以外のものを計算基礎から除外することはできません。これは,個人的事情によって割増賃金算定の基礎が変わるのはおかしいとの考えによります。

ただし,この除外賃金に該当するかどうかは,賃金の名称ではなく,その実質的な趣旨・目的に従って判断されます。これに関する通達では,在宅手当と言っても,「在宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や,在宅に要する費用にかかわらず一律に定額で支給される手当(例えば,賃貸住宅居住者には2万円,持家居住者には1万円支給)」は該当しない(平11.3.31基発第170号)としています。家族手当,通勤手当等の場合も同様な扱いになりますので,注意する必要があります。

ケーススタディ③(埼玉県在住H.Tさん)

私の所定労働時間は9時~18時ですが、時折、7時~16時の早番勤務となることがあります。会社はこの早番勤務に対して1回500円の早出手当を払っています。この早出手当は残業割増の算定基礎に含まれますか?

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