エスカレーターでのベビーカー使用は法律違反?
2017年12月25日
弁護士の永田です。
子どもをベビーカーに乗せているとき、エスカレーターを使いたいなぁと言う場面に遭遇することがあります。地下鉄を利用したときなどは特に。
エレベーターがとても遠いところにあって乗り換えで非常に遠回りをしたり、こちら側に行きたいのに真逆の方面にしかエレベーターがなかったり、そんな不便に遭遇する事が多々あります。そして、荷物があったりすると、子どもを抱っこして、ベビーカーを畳んで、、というのが非常に困難な状況のとき、あぁエレベーター使いたいなぁと思います。
現に、子どもをベビーカーに乗せたままエスカレーターを利用されている方も結構見かけます。
でも、エスカレーターには、「ベビーカーの利用は危険ですのでお止めください」とか、大抵注意書きが書いてありますよね。
では、このエスカレーターの注意書きはきちんと法律で規制されていて、罪になるのか、、
というと、それ自体は何か特別な法律で禁止されているわけではありません。
しかし、乗降の際にタイヤが引っ掛かるなどして転倒する可能性がないとも言えないし、手で支えているとはいえ、アンバランスな状態なので、子どもが安全とは言えませんね。また、他の利用者へも危険が生じる可能性があり、不快な思いをする人も多いと思います。
現実に事故も起きています。
国土交通省も、ベビーカー利用の環境整備に向けた継続的な協議会を開催し、子どもをベビーカーに乗せたままエスカレーターを利用しないよう呼び掛けています。
このようなことで、エスカレーターでのベビーカーの使用を禁止と明示している企業が多いと思います。
そして、万一事故が起きた場合は、子どもだけでなく、周囲の人が怪我をすることもあり、危険が想定されている中、利用が禁止された状況でのことでもあり、民事の賠償責任や、場合によって刑事責任も問われかねません。
したがって、利用すること自体で何か罪に問われるわけではありませんが、お子さんや自分自身のほか、周囲の方の危険回避、ひいては、民事・刑事の責任回避のためにも、エスカレーターでの利用は控えるべきです。
バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)により、バリアフリー化が進み、また、国土交通省の協議会の普及啓発もあり、ベビーカーマークなども見かけるようになって、ベビーカーも利用しやすくなりました。
周囲にエレベーターがないところでは、駅員や職員を呼ぶボタンが設置されている箇所も見かけます。
でも、不便はまだ多く、その不便は、高齢者や車椅子利用者にも当てはまることですので、バリアフリー化はまだまだ不十分な状況ですね。