財布や小切手を拾ったら

2018年02月20日

阿部・楢原法律事務所、代表弁護士の阿部です。

先日、街を歩いていたら、財布が落ちているのを見つけました。中を開けたら、一万数千円とカードと、そして免許証が入っていました。免許証には、当然「住所」が書かれていました。

「どうしようかな?」と思いました。

「ネコババしようか、どうしようか?」と言う訳じゃなくて、

「交番に持っていくのか、本人に直接持っていくのか、どちらにしようか」を迷ったのです。

住所を見るとアパートのようだったのと、年齢的にもひとり暮らしっぽい若い男性だったので、自宅に持って行って留守だと面倒だと思い、結局そのまま警察署に連絡をしました。「最寄りの交番に持って行ってください」と言われたので、拾った財布を交番に持って行き、書類を色々書かされました。

その後、法律を調べてみました。

「誰のものか分からない物」は、警察に届けられた日から3ヶ月間、誰の届け出もなければ、その拾った人のものになる。ちなみに埋蔵物は3ヶ月ではなく、6ヶ月だそうです。ニュースなどで見る現金5千万円が竹藪から見つかったと言う事件、あれは6ヶ月間何もなければ、拾った人のものになるという事です。

そして問題は、「誰のものか分かる物」です。今回私が拾った財布は、免許証があったので「誰のものか分かる」という事になります。

この場合、3ヶ月経とうが、6ヶ月経とうが、拾った人のものにはなりません。しかし、拾われた本人が拾った人に、5~20%の「報労金」と言う謝礼を支払わなければならないと、「遺失物法」と言う法律に書かれています。

それはもちろん、受取人が放棄しても構わない。私も交番に持って行った時に「放棄するか?」聞かれ、面倒なので放棄しました。”放棄した場合にはこの限りではない”と、全部「遺失物法」上に規定があります。今回の場合、財布の持ち主は、誰に拾われたか分からないまま、報奨金を払わないで終わったという事になります。

よく「拾ったら1割貰える」、と聞きますよね。なぜあれは”1割”なのか。遺失物法上の規定は”5~20%”なので、たぶんその間を取って”1割”って言うようになったのかなと思います。

時間があったので、この5~20%の謝礼「報労金」を請求できる権利で、裁判になった事案はないかと調べてみました。

これが意外にありました。

何のどんな事で裁判になっているかと言うと、小切手や手形を拾った人が、その小切手や手形の「額面」の5~10%を請求すると言うものでした。

一つの裁判例では、75億円くらいの額面の小切手を拾ったというもので、当然受取人が小切手に書かれていたので、誰のものかは分かり、拾った人がその持ち主に額面の5~20%を請求したと言う事案でした。

75億円の20%なら15億円となるわけですが、さすがに裁判所は全部認めませんでした。一応、なぜか分からないのですが、小切手の「額面の2%」を基準に、「額面の2%」の20%の報労金と言う計算になるらしいです。この場合、額面の2%は1億5千万円、その20%で、3千万円くらいを手に入れたようです。

回収見込みなどの観点からか、小切手の額面全額はやはり認められず、事案(額面)によって、額面の2%~50%くらいを基準に、その5~20%の報労金を請求できるという権利が、法律上認められているようです。

ちなみに、その「報労金」の請求は、その物が持ち主に返還された後、1ヶ月を経過するまでになされる必要があると言います。返還後1ヶ月を経過すると全然請求できなくなってしまいます。結構、時間的にタイトですw。

なので、もし高額小切手を拾ったときの為に、「拾った物が持ち主に返還されたのを確認したら、報労金はすぐに請求しなければならない」と、覚えておくと良いかもしれません。

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