【家庭問題】監護者指定
2015年11月06日
1. 事案の概要
依頼人は、結婚10年目の夫婦の妻です。子どもが2人います。
やがて、夫が妻に暴言をふるうようになりました。その後、妻は、夫の暴言に耐えかねて、子どもたちを連れて家を出ました。
夫は、妻を相手方として、自己を監護者に指定し、子らを引き渡すことを求める審判を申し立てました。
2. 行った手続
夫は、①子の引渡しを求める審判、②子の監護者を指定する審判、③子の引渡を求める保全処分の申立てをしたため、これらに応訴しました。
同時に、妻は、自らが監護者となることを望んでいるので、妻からも、家庭裁判所に対し、自己を子の監護者に指定する審判を申し立てました。
3. 子どもを取り戻すための法的手段
今回の依頼人は別居中に子どもを連れ去った側でしたが、離婚後、親権者でない父又は母が子どもを連れ去ってしまったので取り戻したいとのご相談はよくあります。この場合、本件の夫がしたように、家庭裁判所に子の引渡し審判の申立てをすることができます。本件のように離婚前、夫婦が別居中で話合いができない場合も同様です。この場合、子の監護者の指定の申立ても必要です。
監護者とは、子どもと生活を共にして身の回りの世話や教育をする人のことです。通常、親権者と監護者とは同一人ですが、親権者が常に監護者としても適任とは限らないため、親権者とは別に監護者を定めることができます。例えば、親権者である父親が海外出張中のため日本国内にいる子どもの世話や教育がまったくできない場合、母親が監護者となることがあります。
また、連れ去られた子どもに差し迫った危険があるなど、裁判所の審判を待っていたのでは間に合わないような緊急性がある場合には、審判の申立てのほかに保全処分の申立てがなされることが多いです。
4. 結果
子の引渡しや子の監護者指定の審判は、子どもの年齢、性別、性格、それまでの養育状況、夫婦双方の経済力や生活環境等に照らして判断されるので、子どもの福祉に適う家庭環境が整っていることが重要です。
本件審判手続でも上記事情を主張・立証した結果、夫の申立はすべて却下され、子どもたちの監護者は妻と指定されました。
5. 解決までの期間
約8か月
6. 弁護士費用
総額約60万円(税込)