【家庭問題】調停離婚の事案

2015年11月06日

1. 事案の概要

依頼人は、結婚10年以下の夫婦の妻です。子供が1人います。
夫は、結婚直後から妻に暴言を吐くようになり、妊娠中の妻を正座をさせて叱責するなどしていました。妻は、その恐怖から、出産を機に家を出て別居していたところ、関係修復を望む夫から、円満な夫婦関係を回復するための調停が申立てられました。

2. 行った手続

妻は、もはや関係修復は不可能と考え、離婚をして子どもの親権者となることを望んでいました。そこで、夫からの調停申立てに対して、妻から婚姻費用分担、離婚および養育費の調停を申し立てました。妻が子どもの世話をしているため、離婚が成立するまでは妻子の生活費としての婚姻費用を、離婚が成立した後は子どもの養育費の支払を求めるものです。

3. 離婚をする方法

離婚をする方法は、①夫婦間の合意による離婚(協議離婚)、②調停手続による離婚(調停離婚)、③裁判手続による離婚(裁判離婚)の3種類があります。法律上、①夫婦で合意が整わない場合、②調停離婚を経て、調停が不成立となった場合にはじめて③離婚訴訟の提起ができるという仕組みがとられています。②離婚調停は、男女の調停委員を交えて、夫婦が率直に話し合うという手続です。裁判とは異なり、話合いの結果、合意に至らなくても、一定の結論を強制されることはありません。他方、調停が成立すると、合意内容が調停調書に記載され、相手方が合意に違反した場合、調停調書をもって強制執行が可能です。
本件では、夫が夫婦関係の修復を求めているので、協議離婚は困難です。そこで、離婚を望む妻の意思を明確に示すために、夫の調停申立てに応じるだけでなく、妻から離婚の調停を申し立てます。同時に、離婚後の養育費の金額を定めておくために、養育費請求の調停も申し立てます。

4. 結果

調停手続は、裁判手続とは異なり、立証に成功した者の主張が認められるわけではありません。そうとはいえ、調停委員も夫婦の事実関係を踏まえた上でアドバイスをしますから、根拠のないままの言いたい放題は通じません。
訴訟を見据えて事実に基づく主張をした結果、夫も自らの非を認め、妻の希望通り、調停による離婚が成立しました。また、子の親権者は妻となり、夫は子が22歳になるまで月5万円の養育費を支払うことが定められました。
養育費の支払期間は、子どもが成人する20歳までとされることも多いのですが、調停において冷静に話し合った結果、大学を卒業させたいという妻の希望が聞き入れられました。

5. 解決までの期間

約10か月

6. 弁護士費用

総額約50万円

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