遺産分割の方法によって、税金の額は変わるのか?
2013年10月29日
・遺産分割の方法
遺産分割の方法には、換価分割、代償分割、現物分割があります。
換価分割とは、不動産などの遺産を売却し、その売却価格を各相続人の相続分に応じて分割する方法です。たとえば、相続人が兄弟3人だけである場合は、遺産である土地を3000万円で売却し、その3000万円を、兄弟1人につき1000万円ずつ分配することを指します。
代償分割とは、特定の相続人がある遺産を相続で取得した際に、この代償(見返り)として、他の相続人に金銭を給付するものです。たとえば、相続人が兄弟3人だけである場合に、3000万円の価値がある遺産の土地を長男が取得し、他の兄弟2人に対し見返りとして1000万円ずつ給付することをさします。
現物分割とは、遺産をそのままの形で相続分に応じて分割する方法です。たとえば、たとえば、相続人が兄弟3人だけである場合に、土地を3分の1ずつに分筆(土地を分割)することをいいます。
どの方法で分割されるかについて、遺産分割協議や調停の中で話し合われ。決められることになります。
・分割方法と税金との関係
遺産を相続した場合には、相続税が課税されることがあります。さらに、その他に譲渡所得税という税金が課せられる場合があります。
代償分割を選択した場合、譲受人が取得後に第三者に遺産を譲渡したときには、譲受人に対して、相続税の他に譲渡所得課税がかかる場合があります。この場合、譲受人のみに譲渡所得税が課せられます。被相続人が取得した価格が低額であれば、かなりの税額となるおそれがありますので注意が必要です。
換価分割を選択した場合には、相続人らそれぞれにその取得割合に応じて相続税が課税され、さらに、譲渡所得税が課税される可能性があります。この場合、相続人の全員に譲渡所得税が課せられるとしても、相続分に応じた分のみを負担すれば十分であり、特定の相続人のみに課せられることはありません。
このように、分割の方法に応じて、課税問題が全く異なることがあります。
そのため、遺産分割協議書や調停条項においては、どの方法による分割にあたるのかを明確に記載した方が好ましいといえます。