わなを仕掛ける資格

2018年01月17日

阿部楢原法律事務所弁護士の田村です。

先日、父が精神科に行かなければならないという話をしていました。
それなりに高齢なものですから、一瞬、認知症のおそれでもあるのか?と思ったのですが、よくよく聞いてみると、「わな猟免許」の取得のために診断書を書いてもらう必要があるとのこと。

「わな猟免許」は、鳥獣保護法に定められた狩猟免許のひとつで、罠を仕掛けて獣を捕るために必要な狩猟免許です。畑の作物がイノシシに荒らされるので、それを捕まえたいとのことで、父はその資格を取ることにしたのです。
「わな猟免許」を含む狩猟免許については、免許取得時や更新時に、統合失調症や認知症などの精神疾患でないことを証明する医師の診断書を求められています。わなにも危険がありますし、捕まえていい獣とそうでない獣の区別等、法令を守って適切に猟を行う必要があるからなのでしょう。

しかし、いきなり精神科に飛び込みで行って、書いてもらえるものなのか、だいたい、プロとはいっても、「初診」の精神科医がどこまで精神疾患についての判断ができるのか、むしろ、普段から何度も会って継続的に様子を見ているかかりつけ医の方がよくわかるのではないだろうか、と思ったところ、そういう意見があったのかなかったのか、平成27年から、精神科医でないかかりつけ医の診断書でも大丈夫ということに制度が変更になっていました。

ということで、父にその旨を伝えて、近所のかかりつけ医(内科)に行くことをアドバイスしたところ、「自分は精神科ではないから、精神科の領域に関わる診断書はかけない」と断られたそうです。仕方なく、別の精神科に行ったところ、「一回の診断で責任を持った診断書はかけない」と、また断られたとのこと。
結局、数件問い合わせて、やっと初診で書いてくれる精神科を見つけたそうです。診断書作成にあたって実施されたのは、1~2分ほどの問答だけで、これで本当に大丈夫かと思ったそうですが・・・。

安全のために(特に銃を扱うような場合)一定の検査は必要だとは思うのですが、法律上検査を義務付けても、その検査の中身が不十分だったり、検査機関が整っていなければ、実効性はないですよね。
ちなみに、上記の診断書の書式には、「麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者」に該当しないこと、という項目もあります。これって、絶対自己申告はしないですよね。単純に尿検査を義務付けた方が良いのではないかと思いました。

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