「脳死」と「植物状態」の違い

2018年05月29日

弁護士の永田です。

 

先日、健康保険証の更新でした。

ところで、健康保険証や運転免許証などの裏側には臓器提供の意思表示をする項目が設けられているかと思います(臓器移植法・健康保険法施行規則等の一部を改正する省令・道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令など)。

意思表示をされている方もいるかと思いますが、そこには、心停止の場合と脳死の場合に臓器を提供するか否か、提供する場合にどの臓器を提供するか、意思表示する欄が設けられています。

(インターネットでも意思表示はできます)

 

数年前、知人にこの意思表示ってしているかと聞かれたことがあります。

(答えなくてもよい質問ではありますが)

 

この意思表示について考えるに、そもそもこの「脳死」って何なの?ということを理解する必要があると思います。よく聞く「植物状態」というのとは違うのか?

 

結論としては、脳死と植物状態とは違います。

違いは、脳がどこまで機能喪失しているか、ということになります。

 

ここでいう脳死とは、大脳や小脳や脳幹を含む脳全体の機能が喪失してしまっていて、意識の伝達や呼吸を始めとする身体の機能調節ができない状態のことを指します。人工呼吸器などの助けで暫く心臓を動かすことも可能ですが、いずれにせよ心臓停止となってしまいます。

 

一方、植物状態というのは、脳幹の機能だけは残っていて、自分で呼吸ができることが多く、脳死とは異なり、回復する可能性もあるとされています。

 

したがって、臓器提供するかを考えるとき、万一寝たきりの植物状態になってしまった場合(回復可能性0ではない)にどうするかということを考えるのではなくて、やがて心停止を迎える脳死という判断がされたときにどうするか、ということを考えるということになります。

知人は勘違いしていましたが、同じような人もいるのかなと思いました。

 

なお、脳死と心停止の場合とで場合分けした意思表示をするかに関しては、個人的には、脳死状態になればいずれ心停止を迎えてしまうことになるので(※心停止まで長期間経過したという例もあるよう)、それほど深く考えなくてもよいのかなとは思っています(※あくまで自分が提供する場合の話。皆さんはよく考えられて下さい。)。

 

いずれにせよ、万一の際に家族が決断しやすいように事前に話をしておくためにも、脳死がどういう状態か、例えば更新の際とかに併せてとか、もう少し周知されてもいいのかなと思いました。

 

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