「規制と法律」

2018年06月12日

弁護士の田村です。

 

「そうだ、京都に行こう。」

ということで、先日京都に行ってきました。

 

ふらふらと街を歩いていたら、改めて京都って街並みに凄く気を使っているのを感じました。

店内は普通の美容室だけど入り口の扉が格子戸になっていて一見何のお店か分からなくなっていたりします。

もちろんサインポールもありません。

 

京都市は景観条例が非常に厳しいところです。

「京都市屋外広告物等に関する条例」を見てみると、点滅式照明や可動式照明は、使用を禁じられていますし、一定面積以上の広告物は、たとえ自分の土地であっても市長の許可がないと設置できません。使っても良い色合いも限定されています。

説明のガイドラインを見ても、細かすぎてうんざりするレベルでした。

 

はあ~、大変だなあ、と思っていたら、ちょうど京都大学の立て看板が、景観条例に違反しているため一斉撤去された、というニュースが流れてきました。

京都市の屋外広告物の景観ガイドラインを見てみると、「屋外広告物」とは、「①常時又は一定の期間継続して、②屋外で、③公衆に表示されるもの」で、「商業広告以外の営利を目的としないものも含みます。」なっているので、商業広告でない大学の立て看板も、形式的にはこれにあたりそうです。

一方で、昔から京都大学は学生の活動も活発。学生に対しても、社会に対してもいろんなことを訴えたい、そのために立て看板を利用してきた、という歴史もあって、立て看板に対する思い入れは非常に強いものがありますし、強すぎる規制は表現を制限するものになる危険があります。

どっちを優先すべきなのか?どこまで規制をすべきなのか?

 

こういうときには、弁護士は「法律の趣旨から考える」ということをします。

つまり、景観条例は何を守ろうとしているのか、その趣旨はなんなのか、立て看板の規制はそれに合致しているのか、ということを考えるのです。

 

京都の「歴史のある景観」を守りたいということが景観条例の趣旨の一つでしょう。

古式ゆかしいお寺や神社という「歴史のある景観」を霞ませる大きくて派手な看板は、その趣旨に反する、ということになるかもしれません。

立て看板があるということが京都大学近辺の「歴史のある景観」だと考えれば、京都大学近辺では立て看板も景観条例の趣旨に合致するかもしれません。

(屁理屈っぽいですが)

 

何かの規制がかけられているときは、それがどういう趣旨で規制されているものか、それが本当に必要なものか、という視点をもってみると、わかりやすくなるかもしれません。

(これに加えて、「趣旨に合っていたとしても、そのための規制としてやりすぎではないか?」という視点も大事になるのですが、とりあえずそれはまたの機会とします。)

 

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