【不動産トラブル】家賃滞納中の賃借人が行方不明になった物件の明渡し方法

2015年11月06日

1. 事案の概要

賃借人が家賃を滞納して、連絡のないまま、翌月も家賃を支払いません。その後も一向に連絡が取れないとのことです。どうやら、賃借人は家を出たまま、所在不明となっているようです。

2. 解決方法要

本件のように賃借人が家賃を滞納したまま所在不明となった場合、以後も家賃の支払を見込めないので、訴訟を提起して勝訴判決を得た後、強制執行という法的手続を採ることにしました。
本件は賃貸借契約期間中なので、まず契約を解除した上で、建物からの退去を求める必要があります。相談者の賃貸借契約書には、正当な理由なく賃貸家屋に3か月以上居住しないとき解除することができる旨の定めがありました。そこで、7か月分の賃料不払い及び失踪後3か月以上経過していることを理由として、賃貸借契約を解除して、賃貸家屋の明渡し及び滞納家賃35万円の支払いを求める訴訟を提起しました。
訴訟を提起するためには相手方に対し訴状を送付(法律用語では「送達」といいます。)する必要があります。送達は、相手方に直接手渡す方法によるのが原則ですが、本件のように相手方が所在不明の場合、公示送達という方法を用います。これは、裁判所の掲示場に訴状等の送付物を掲示して2週間経過すれば、送達したとみなされる制度です。裁判所に公示送達を申し立てるために、賃貸家屋及び相手方の住民票上の住所に赴き、建物の外観等を写真撮影したり管理人や近隣住民から事情聴取する等して相手方が所在不明であるとの結果を記した調査報告書を作成しました。
相手方らは公示送達による呼出しを受け、裁判所に出頭することのないまま、相談者の全面勝訴判決となりました。
 しかし、裁判には勝っても賃借人は行方不明のままですから、賃借人に賃貸物件内に残された家財一式を処分させることも、滞納家賃を支払わせることも不可能です。そこで、勝訴判決を債務名義として、賃貸家屋の明渡しの強制執行に加えて、相手方所有の動産を換金して滞納家賃を回収するための動産執行の申立てをしました。債務名義とは、強制執行によって実現されることが予定される請求権の存在や範囲等を表示した公の文書のことです。強制執行を行うには債務名義が必要とされるので、強制執行の前に、まず訴訟を提起するのです。
執行当日、賃貸物件には誰もいなかったので強制執行はスムーズに進みました。物件内には交換価値のある家財は残されていませんでしたが、執行官が残置物は無価値物であると判断したため、相談者は、残置物の廃棄処分をすることを許され、無事、賃貸家屋を取り戻すことができました。
賃借人が所在不明となった場合、賃借人に無断で残置物を処分することは賃借人の財産権を侵害する違法な行為となるため、法的手続を執らざるを得ません。多額の費用がかかる裁判等をするのはもったいないというお気持ちもわかります。しかし、残置物の無断処分は、刑事責任問題にまで発展する危険があることを考慮すれば、費用をかけてでも適法に物件の明渡しを受けて、次の入居者に賃貸するほうがはるかに合理的です。家賃を滞納している賃借人と連絡がとれなくなったら、早めに弁護士にご相談ください。

3. 明渡しまでに要した期間と費用

契約者の所在を調査する等して公示送達による提訴をするために約2か月、提訴後勝訴判決を得るまで約3か月、判決確定後、強制執行の申立てをして強制執行による明渡しをするまで約2か月、全部で約7か月で解決しました。
解決に要した費用は、強制執行に要した費用として約4万5千円、弁護士報酬として着手金40万円及び報酬金40万円、合計約84万5千円です。本件は、賃貸物件内の残置物が無価値物のみであったため、強制執行費用が安くすみました。

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