Q.先日急用が生じたため、その日の朝になって有給休暇を取りたいと会社に電話をしたところ、「就業規則には,2週間前に有給休暇の申し込みをしなければならないと規定されている。そうである以上,当日の有給申請を認めることはできない。今日会社に来なければ欠勤の扱いにする。」といわれました。有給休暇は,労働者の好きな時期に取得できるものではないのですか。
使用者は、有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければなりません。ただし、客観的に見て請求された時季(時期)に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げるといえる場合においては、他の時季を指定することができます(労働基準法39条5項)。これを時季変更権といいます。一方で,客観的に事業の正常な運営を妨げる状況といえない場合には,使用者は時季変更権を行使できず,労働者はいつでも有給休暇を取ることができます。
また,就業規則などにおいて,使用者側の事務処理上の都合などを考慮し,具体的な有給休暇取得の申込み(時季指定)を休暇日の一定日数,一定時間前までにしなければならないと定めることは,合理的なものである限り,有効とされます。ただし,その場合にも,客観的に事業の正常な運営を妨げる状況がない場合には,会社は有給休暇を認めなくてはなりません。
相談者さんの会社が客観的に事業の正常な運営を妨げる状況にあるといえる場合には,会社の扱いに従わなくてはなりません。その判断は,有給休暇取得の申し出をした者の業務が代替困難なものか,代替者の配置等の対応措置を取るのにどれくらいの時間がかかるかなどの事情をもとになされます。