【損害賠償】不法行為に基づく損害賠償請求事件(被告側)
2015年11月06日
1. 事案の概要
Y(依頼者)は、勤務先の部下であるXと酒席で小競り合いとなり、Xを殴打してしまいました。Xは、約1か月間、入院し、Yは、Xに対し、入院費用等として100万円を支払いました。また、Yの父であるZは、Xの求めにより、Xの治療費等の支払につき、連帯保証しました。
その後、Xは、YとZに対し、Yに殴られて顎を骨折し、咀嚼機能につき10級相当の後遺障害が残ったとして、約3400万円の損害賠償を求めました。YとZは、高額の請求に困って、当事務所にご相談にいらっしゃいました。
2. 行った手続
Xは、YとZに対し、訴えを提起したため、応訴することになりました。Xは、30分間にわたって数十回殴打されたと主張しましたが、Yによると、1回殴打したにすぎないとのことです。そこで、Xの傷害の程度(損害の額)と原因(Yの殴打行為と傷害との因果関係)について、争いました。
具体的には、Xが入院・通院した病院に対し、Xの診療記録等の開示を求めたり、Xの勤務先に対し、Xの勤務状況を示す資料の開示を求める等して、Xの傷害の程度について調査しました。また、Xの同僚や部下から、Xの退院・職場復帰後、Xは入院前と変わらない動作・振る舞いである旨の供述を得たり、食事をするXの姿を写真に撮影する等して、咀嚼機能障害はないことを主張・立証しました。
3. 結果
X主張の後遺障害に疑問を呈する主張・立証をした結果、裁判所は、Yの殴打行為とXの傷害との因果関係を認めたものの、その傷害は、咀嚼機能に障害を残す10級程度とまでは認められず、14級相当に過ぎないとの心証を開示し、和解を勧告しました。結局、Y及びZは、Xに対し、当初の請求金額の約1割である350万円を支払うとの和解が成立しました。
4. 解決までの期間
約1年8か月
5. 弁護士費用
約210万円